どうもこんばんは、ばつ森です!ムーンライトノベルズ、アルファポリスを中心に、壮大なスケールで溺愛BLを書いてます。
\今回は✨短編配信の回✨です/
この短編では、軽めのモノローグで表現するのを練習してます。騎士のローナと、腐男子書店員イオのお話です。本日最終話です!
それでは、楽しんでいただけますように💫
前のEPはこちらから👇
【〝腐男子書店員イオ〟のモノローグ05】
――回想――
「愛してる……いお」
「〰︎〰︎……ローナ、そういうの……いいって」
「どうして。好きだよ、ずっと……好き」
終末の夜は、毎日がとても暗くて。
ローナのそんな〝嘘〟が、ぽっと心の中に灯りをともしていった。毎日体を重ねて、検証BLごっこ。ローナのあたたかな腕の中は、このときだけは僕のものだった。そんなことを言われたら、想いが溢れてしまう。
「僕も、ずっと……好き」
きっと顔は真っ赤だったと思う。だけど、魔導灯をつけることもできなかったから、それが伝わらないことが救いだった。
でも今日は少しだけ、瘴気の合間から月がのぞいてた。
そう伝えた僕に、ローナが優しい顔で笑うのが……月明かりに照らされて見えて、恋で胸がいっぱいだった。
世界の終わりが見えていて、あのときの僕には、〝これから〟を想像する余裕がなかった。
きっとそれはローナも一緒で、今、目の前にある熱をわけあうことだけ考えていたから、まさかこの真っ暗な世界に続きがあるだなんて思わなかった。
(きっとそれが……僕たちの間違えだったのかもしれないよね、ローナ)
あんなに柔らかく、優しく、包み込むように笑ってくれていたローナが――……。
――今、頬を赤く腫らしたまま、床に座って、うなだれているのを……僕は見下ろしているところだった。
【〝そうでもない騎士ローナ〟のモノローグ05】
〝包容攻め〟総動員で、どうにかこの状況を乗り切る方法を考えていた。
そもそも、包容攻めは悪いことを口にしないから、こんな状況にはならないだろうが……だが、なにかを勘違いされて言いわけをしなくてはいけないシチュエーションくらいはあるだろう。
たとえば、ほかの女や男と一緒に歩いているところを、受けが見つけてしまって傷つく――のような展開は、B L的にはあるあるなシチュエーションだ。
自分の頬が腫れているだろうことは……今、考えたくない。
とにかく、だとすればだ!そんなとき、誤解されてしまった包容攻めはどう切り抜けるのかという手腕が問われている。
俺は包容攻め語集を頭の中ですごい勢いで検索し、これだと思える言葉を見つけた。そして、口にした。
「イオ、俺が愛してるのはお前だけだ。誤解しないで」
しかし、言ってから気づいたことがある。
(あれ! 逆にクズっぽさが! あ〰︎〰︎……溢れる偽物感)
どどどどうしよう。本当のことを言っているのに、逆に怪しい。
落ち着け、落ち着くんだ、俺。たとえ全方位に優しい包容攻めだとしても、人間なのだから……焦ることぐらいあるはずだ。俺はぎゅっとイオの手を取りながら、眉尻を下げた。真摯に……真摯に……
「傷つけて、ごめん。好きなのはイオだけなんだ……」
きょとんとした顔のイオを見て、背中を嫌な汗がだらだらと流れて行く。わかる、わかるよ……イオが言いたいことが手に取るようにわかる。
(NI・SE・MO・NO・感〰︎〰︎ッ!)
ぶわっとやるせない気持ちが込み上げて、俺はぐずっと思わず鼻を啜ってしまった。なんで俺はこんなにも、弱くてかっこ悪いんだろう。偽物の言葉が伝わるわけはない……涙がこぼれそうだった。
ぽかんと口を開けていたイオが、不思議そうに俺を見てから、訊いた。
「え……好き? ローナが僕を?」
「うん。イオだけがずっと……え? いや、俺……ずっと伝えたよね」
「……え、終末の? あれ……でもあれは、終末だったからなんじゃ」
――ん?
イオのまったく悪意のない発言に俺はさすがに気がついた。
あ……れ……これ、俺――……。
(最初から、NI・SE・MO・NOだったんじゃ――……)
そして、偽者はつぶれたカエルのような声を上げた。
「え"ッ」
・
【〝腐男子書店員イオ〟と〝そうでもない騎士ローナ〟のプロローグ】
・
「包容攻めを演じてた〰︎〰︎? な、なんでそんなこと」
すべてを洗いざらい吐き出したローナの話に、僕は目を丸くした。
たしかに、終末の世界で見るローナは、すごく包容攻めっぽくて……ときめいてしまったのは事実だった。そう思い込んでしまった僕も、ちまたで噂の〝終末マジック〟の中にあったのかもしれないと、今――気がついた。
終末が明けてから別れるカップルが意外と多かったらしく、それが最近〝終末マジック〟と呼ばれているのだ。
よく考えてみれば、ローナは昔からだらしないところが多々あった。終末の一年の間に、僕もすっかり騙されてしまったのかもしれない。
「だ、だって……イオ、包容攻めの本ばっかり読んでるから……」
ぼそぼそと小声で言っているローナの頬はまだ赤い。
でも、よく考えてみたら、僕は……世界が終末を迎える前から、ずっと……ちょっと困ったところもあるローナが好きだったことを思い出した。どきどきと心臓の音が早くなっていく。
でも、そんな僕には気がつかずに、ローナは変なことを続けた。
「どうせ俺なんて……くず攻めのくくりだろ……イオがいっつも最低って怒ってる分類」
「…………くず」
「えッひどい!」
ビクッと方を震わせるローナを見て、僕が「くず」と言ったように聞こえてしまったのかと焦る。違う違うと手を揺らしながら、僕は言った。
「ローナはくず攻めじゃないよ。多分だけど……へたれ攻めだよ」
「へ、へた……それもやだ。包容力のあるスパダリ溺愛攻めがいい」
「ふ、ふふ……あはは!」
その答えがおかしくて、僕は笑い出してしまった。ローナのその思考は、完全に終末一年間の僕の腐教の賜物だと思った。でも、それがこんな形で、ローナに負担をかけていただなんて、思ってもみなかった。
(そっか……ローナは僕のために……)
それなら最初からずっと、ずっとローナのままで、ローナのことをどう思っているかを伝えておけばよかったなと思った。
僕はローナの頬を両手で挟みながら、にこっと笑って言った。
「僕にとっては、いつでもスパダリだよ」
「……い、イオぉぉ〰︎〰︎」
そう言って涙目になるローナを見て、僕は幸せな気持ちが胸に広がっていくのを感じた。
まるで自分が、BL小説の受けになったような気分だった。まさかローナがスパダリを目指しているとは思わなかったけど、僕がもしかしたら〝包容受け〟かもしれないと思ったことも……今は考えないようにしよう。
でも、こうして物語は、ひとつの結末に行き着くんだなって気が……ちょっとだけ、したのでした。
でも物語はこれで終わりではなくて、僕たちの新しい物語は――これからも続いていく。
それが、とても……嬉しかった。
僕は手のひらの中で、べそをかいてるスパダリに尋ねた。
「スパダリのローナは……あとで、あの男の子に謝りに行くんだよね」
「そうだな。男らしく謝りに行こう」
キリッとした表情でそう言うローナを見て、僕はまた、大笑いしてしまったのだった。
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おわり!
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読んでくださってどうもありがとうございましたー!😭✨✨こんな感じのふたりのお話にまとまりました!🌸🌸🌸長くなってしまいましたが、みなさんが楽しんでくださっていますように🥹
ご意見ご感想などありましたら、waveboxへ💌
―ばつ森近況―
みなさん、前回は空メールをありがとうございました!ちょっと予定より遅れていますが、今月中にはお返事と限定EPUBを送らせていただきます🙌
そしてですね!もうね!なんと!シーモアで悪魔王子発売できました〰︎〰︎!😭✨✨ずっと不安だったんですけど、これでひと安心です😭✨✨ヨカッタヨォォ
あと実は、水面下でアンソロジー企画を始動しております。もしよかったらアンケートにご協力いただけると嬉しいです☺️
\✨質問は4問!匿名アンケです!✨/
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe4Eyj-ghpFEB53zM7KBgYZoeDQsg0TNIT5Xd0JlQuSx8fFWg/viewform
いつも本当にありがとうございます!!
あと、一応こちら、私のブルースカイです。あんまりコンテンツはありませんが、ぜひ☺️
https://bsky.app/profile/xmori.bsky.social
みなさんの週末が、最高に楽しいものになりますように!!
ではまた!
ばつ森
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